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Lost. ⇒ After. (side S) - 日記

プロフィールへ - 全日記 - 2013年9月の日記 -

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祷月 常磐 @tokiwa


 あれから、どのくらい時間が経ったのかは分からない。数分数十分かもしれないし、下手したら数時間なのかもしれない。しかし、今はそんな時間というそれはどうでも良かったのだ。その場に残された屑雷は、ただただ、重く灰色に濁った空を、雲をただ一点に見つめる。天より降り注ぐ雨が、容赦なく屑雷を打ち付けた。まばたきしてから、そうしてゆっくり目蓋を閉じると同時に水滴は頬を滑る。それはまるで、涙を流しているかのようにも見えた。再度目蓋を開くと瞳孔が蛇を思わせるように縦に鋭く伸び、藍を系統とした左右色が異なる瞳は、黄金色へと変貌していた。

「…………、帰る」

 漸く放たれたその一言は雨音によってかき消されてしまいそうな声量であったが、しかし『彼』は聞き逃さない。先ほどまで屑雷一人であったのに、何処からか現れた一人の人間。彼はいわば政府お抱えの能力者で、この場所へ送られる際に自身と共に送られたのだ。虫唾が走る。こんな『紛い物』と共に行動しているということが。奴の代わりにこいつを殺してやろうか、ばちりと小さく放電しながら睨みつけると、彼は少し身じろいだような様子を見せたがそれだけだった。よく訓練された犬だと冷めた賞賛を、無言の殺気と共に送ってやった。雨は、未だ激しい。

「雷獣くんまだ帰っちゃダメっすよお。お仕事終わってないじゃないっすかあ。つか今ここで放電しないでくださいよ、雨介して感電するじゃないっすか。仮にも僕、今はあなたの相棒なんすか」
「おいクソ能力者、誰がてめえみてェな紛い者が俺の相棒だ、あァ? 俺の相棒は今も昔も螢だけだ、あんまりクソみてぇなこといってっと潰すぞ人間」
「――ッ、ガッ、ァ、……ッぐ、」

 男の首元を容赦なく掴みあげ、同時に手のひらより僅かと云えども人間が死なない程度の電流を流す。苦しいだろう、痛いだろう。そのまま、こいつ死ねばいいのに。そう考えながらも、暫くしてから掴んでいた首元を離してやった。男はずるりと力なく地面に倒れ伏すが、そんなものはもはやどうでもいい。こいつは暫く喋れないだろうし、同時に動けないだろう。大体、仕事とか言うがそれも大してどうでも良いとさえ思っているのだ。俺に命令出来るのは、いつだって『首領』だけなのだから。「……帰る」と、再度つぶやくが、次はもうそれに続く他者の言葉は介入されない。「てめえは自力で、てめえの雇い主の元へ帰れ。次は、俺を制することが出来るような人間を寄越すんだな」まあ、無理だろうけど。冷めた嘲笑を地面に倒れ伏している人間へ贈り、ゆっくりと踵を返した。歩みだし、数歩歩いたところで指を鳴らした。雨音が相も変わらず激しいというのに、その鳴らした音は不思議と響いた。

 直後。志礫屑雷は落ちてきた雷に直撃し、その場から忽然と姿を消したのだった。






「……、」
「あれぇ、せっつんおかえりー。早かったねーって、あー……そういえば今日雨かぁ。まだ首領も逝々さんも帰ってきてないんだよねえ」
「…………、螢は」
「螢くん? うーんと、確かあの後お仕事頼まれて行っちゃったんだっけ。あ、でも直ぐ帰るよー?」
「……じゃあいい」
「ええー、ちょっとー、そのままにしとくと風邪引いちゃうよー! 螢くん居なくても自分で身体ふけってばーせめて風呂はいれっつーのー」
「なら螢をよこせ」
「話になんねえやいやいつものことか」

2013/09/16 16:21 - No.0

2013年9月の日記

コメント

祷月 常盤 @tokiwa

Lost.の後の話。
あかん予想以上に屑雷あかんかった(白目)まきさんから、螢くんのお名前をお借りいたしましたっ! いやほんともうまじで有難う御座います同時に色々とすみませんorz(

モブっていうかなんかそんなんが二人程出ていますが気にしないでくださいー!
てか正式に今度こいつら二人が誰だったのかって書こう。うん。
なんかあのう、リアルな天候が台風だったのでなんとなく書きたかったっていうか満足したほんとまじ満足したせっつーん

2013/09/16 16:29 - No.1

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