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ついき、 - 日記

プロフィールへ - 全日記 - 2019年7月の日記 -

本文

オデット @rune1109


【 元四番道主の娘がアルバート・マッドハッターを恨んでいる理由みたいなものをつらつら書きました。
 シリアス大好物なので、すぐ暗くしたくなる……。
 語彙が無さすぎてほんとお粗末な文ですが(特に前半ひどいな)見ていただけたら嬉しいです。
 いかにアルバートがクズ男かがわかるかと。。 】






*


 あたしたちは、小さな一軒家に引っ越すことになった。
 綺麗な椅子も、ふかふかなベッドも、美味しいお菓子も、使用人もいない。
 小ぢんまりとした、殺風景な部屋。

 新しいこの通りの決まりは“平等な社会”。
 貧民層の区域も富裕層の区域も、6年という長い時間をかけて再建された。
 今まで富裕層だったあたしたちは過剰な分のお金を回収され、一般の人たちと同じ生活を強制された。
 だから別に無一文なわけじゃない。
 今までが贅沢すぎただけで、これが普通なんだって、それはわかる。理解できる。
 そう、なんだけど。
 ただ、受け入れられないだけなんだ。

 でもね、まだこれは我慢できる。
 あたしは失ったものが少なかったけれど、ママは…………

「 今日こそアルバートくん、来てくれるかしら 」

 そんなことを呟き続けていて、それはあたしに話しかけるようで、自分に言い聞かせるようで、……あの人に伝えるようでもあった。

 ママは壊れちゃった。
 信用していたあの人に裏切られたことを受け入れることができなかったんだ。そんなママを見るのが、辛かった。


 ある日、あたしはついに我慢できなくなって言ってしまった。

「 もうアルバートさんは来ないんだよ! ママは、いいように利用されていただけなんだって! 」

 そう大声で吐き捨てて、あたしは自分の部屋に駆け込んだ。
 __そのときママがどんな表情をしていたのか、あたしは見ていなかった。


 ベッドの中で目を閉じていても、少し言い過ぎちゃったかなっていう後悔が妙に胸をざわつかせて、あたしは寝つけなかった。
 謝ろう。
 ベッドから飛び降りてあたしはママの部屋に向かった。

「 ママ、さっきは…… 」

 ドアノブを回して中に入ると、暗闇の中でぶらんと、何かが揺れた。







*



 木製の古びたドアを3回ノックすると、奥から「 どうぞ 」とくぐもった声が聞こえた。
 中には彼と、彼の秘書らしき人がいた。
 彼は秘書に席を外すよう命じ、あたしが入ったドアから出た。
 パタン、と後ろで音が止み、あたしは胸元に忍ばせておいた折り畳み式のナイフを取り出す。

「 __6年ぶり、かな。見ない間に美しくなったね 」
 アルバートはペンを置き、眼鏡を外した。
「 ……母は、貴方を愛していた 」

 あたしは歩を進める。


「 とすると、君はもう17? いや18になるのかな 」
「 貴方は、母の気持ちを知っていた 」

 あたしは歩を進める。


「 昔はあんなに小さかったのにね。時間が経つのは早いものだね 」
「 そのうえで、母を裏切った 」

 あたしは歩を進める。


 2人の間は、もう手を伸ばせば届くほどの距離となった。
 見下ろすあたしと、イスに座って見上げるアルバート。

「 貴方が自分の行いを認めないのなら、私が貴方を告発する 」

 ナイフの刃先を、彼に突きつける。
 右手の上に左手を被せて、しっかりと握る。
 ところが彼は余裕ぶった笑みを浮かべたまま、脚を組む。

「 6年前、君はいつもそんな目をしていたね 」

 彼が何を言い出すのかわからなくて、あたしは眉をひそめた。
 いや、彼が何を言っても問答無用で聞く耳を持たなければよかったのだけど、あたしはその言葉に引っかかるところがあったのかもしれない。

「 気に食わない、憎い、そんな嫉妬心を抱いていた 」

「 ……何のこと? 貴方の言っている意味がわからないわ 」
 首をすくめて挑発的に笑う。
 何かが胸の辺りを蠢く。
 開けてはいけないパンドラの箱の錠が、ガタガタと揺れているように。

「 自分のほうが若くて外見が優れているのに。性格だって良いし、自分ならもっとうまくやれるのに 」

「 ………… 」
 ナイフを持つ両手に、力が入る。

「 自分を見てほしい。自分の良さに気づいてほしい。愛して、愛して 」

「 話を逸らさないで 」
 うるさい。

「 君は、お母さんにそんな嫉妬をしていた 」

「 話を、逸らさないで 」
 うるさい。
 うるさい。
 うるさい。


「 __君は、僕に恋心を抱いていた 」

「 うるさい! 」
 あたしは一心不乱に叫んだ。
 何もかも振り払うように否定するように首を振った。

「 あたしはあなたのことなんか嫌いよ! 憎い! 殺したいほどに憎いわ! 」


「 なら、殺せばいい 」

 「 そのために来たんだろう? 」そう言って彼は立ち上がり、左手の黒の手袋を外す。
「 ……っ、 」
 裸になった彼の左手の指が、ナイフの側面を撫でる。
 ナイフを握る手に、力を込める。

「 ……こな、で…… 」
 なぞるように、舐るように、這う彼の指。

 手が震える。
 呼吸が震える。
 声が震える。
 身体が震える。

 そしてそれは、


「 __ひッ、 」

 カランと、ナイフが木製の床に落ちた乾いた音。

 赤。
 朱。
 紅。

 ナイフの切っ先から、導かれるように、それは彼の指へ。
 いや、違う。
 あたしはその場にへたりこんだ。

「 駄目じゃあないか。しっかり握っていないと 」

 彼は血で濡れて光を帯びた、その刃物を拾い上げる。
 目の前に差し出されても、あたしは身体を動かすことができなかった。
 受け取ることができなかった。

 動けないあたしに、上から、淡々と声がかけられる。

「 __さ、僕のことが嫌いなら、好意を抱いていなかったと言えるのなら、その証明をしてみせて 」


 あたしは、

 あたしは、


 あたしは____、



「 う、うぅ……ううぅぅぅぅぅうううううう!!! 」

2019/07/06 14:26 - No.0

2019年7月の日記

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